『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』
オスカー・ワオの短く凄まじい人生 (新潮クレスト・ブックス)
- 作者: ジュノディアス,Junot Diaz,都甲幸治,久保尚美
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/02/01
- メディア: ハードカバー
- 購入: 12人 クリック: 441回
- この商品を含むブログ (113件) を見る
オスカーはドミニカ人で、オタクでデブで童貞で、トールキンの指輪物語とかロボテックとかAKIRAとかウォッチメンとかに夢中で、でも二次元じゃなくてリアルの女の子も大好きなのにまったくモテない。好きな映画は『復活の日』で、ラストシーンに号泣する。
そしてオスカーの家族・祖先の物語、独裁政権下のドミニカの物語がオスカーの人生と並走する。現実とファンタジーの関係について、こんなにも生き生きと、ポップに、激しく書かれた小説を初めて読んだような気がする。『自虐の詩』をなぜか思い出したのは、きっとこの世には幸も不幸もなく、ただ、人生には意味がある・・・というところが一緒だなと思ったからかもしれない。
ファンタジーやSFは、現実から逃避する装置であると同時に現実と戦うための栄養源であり、オスカーは正しくその効能を理解している。(もしくはその中でしか生きられない)そして自ら物語を綴る。その行為はとんでもなく感動的であるが、真似をしたいとも思わない。
自分の人生は、オスカーの「短く凄まじい」を「長く凡庸な」に変えただけのものなのかもしれないな、と思いつつ、それでも圧倒的な人生の肯定に励まされるような気さえした。震災後に最初に読んだ本がこれで良かったと心から思う。
オスカーにとって女というのは始まりにして終わり、アルファにしてオメガ、DCにしてマーベルだった。野郎の欲望は強烈だった。かわいい女の子を見れば震え出さずにはいられなかったのだ。何にも起こらないうちから恋に落ちた
あどけない瞳と大きな胸の娘をトルヒーヨから隠すというのは易しいとは言えなかった(まるでサウロンから「一つの指輪」を隠すようなものだ)。
- 出版社/メーカー: 角川映画
- 発売日: 2011/01/28
- メディア: DVD
- 購入: 1人 クリック: 9回
- この商品を含むブログ (20件) を見る
- 作者: J.R.R.トールキン,J.R.R. Tolkien,瀬田貞二,田中明子
- 出版社/メーカー: 評論社
- 発売日: 1992/07/01
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 31回
- この商品を含むブログ (95件) を見る
WATCHMEN ウォッチメン(ケース付) (ShoPro Books)
- 作者: アラン・ムーア,デイブ・ギボンズ,石川裕人,秋友克也,沖恭一郎,海法紀光
- 出版社/メーカー: 小学館集英社プロダクション
- 発売日: 2009/02/28
- メディア: 単行本
- 購入: 81人 クリック: 998回
- この商品を含むブログ (260件) を見る