『応答せよ巨大ロボット、ジェノバ』
- 作者: 杉作 J太郎
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2010/12/23
- メディア: 単行本
- 購入: 6人 クリック: 29回
- この商品を含むブログ (20件) を見る
このプロットだけ読んだらふざけているだけの小説だと思うでしょう。さよう、ふざけている。だけど同時に、全くもって大真面目な小説でもあった。
「さようならJ文学、そして今、J太郎文学」と帯にあるが、そもそも俺はJ文学とやらがよく分からない。しかしJ太郎文学が紛うことなき文学なのはよくわかった。
アホらしいオナペットの話しと、死に取り囲まれていく中年男性の人生が同じ地平で交差する。地下900メートルの地下防衛組織は、「◯◯」から隊員たちを守る要塞だ。もはや我々のような追い詰められたオッサンを癒すのは、性的な妄想か巨大ロボットの「物語」しかない。物語こそが救いであり、生きる意味であり、死なない言い訳なのだ。
「◯◯」には何を入れてもいい。まさに男の墓場から這い出して、生きるために読む文学。