『応答せよ巨大ロボット、ジェノバ』

応答せよ巨大ロボット、ジェノバ

応答せよ巨大ロボット、ジェノバ

「宇宙人の侵略から地球を守るための地下秘密組織」に入った「元プロレス実況の解説者」が、「巨乳、童顔、アニメ声の元グラビアアイドル」に出会い、「巨大ロボット」が登場するという、最高にごった煮の設定。「エヴァンゲリオン」も「レスラー」とロマンポルノも入ってる。

このプロットだけ読んだらふざけているだけの小説だと思うでしょう。さよう、ふざけている。だけど同時に、全くもって大真面目な小説でもあった。

「さようならJ文学、そして今、J太郎文学」と帯にあるが、そもそも俺はJ文学とやらがよく分からない。しかしJ太郎文学が紛うことなき文学なのはよくわかった。

アホらしいオナペットの話しと、死に取り囲まれていく中年男性の人生が同じ地平で交差する。地下900メートルの地下防衛組織は、「◯◯」から隊員たちを守る要塞だ。もはや我々のような追い詰められたオッサンを癒すのは、性的な妄想か巨大ロボットの「物語」しかない。物語こそが救いであり、生きる意味であり、死なない言い訳なのだ。

「◯◯」には何を入れてもいい。まさに男の墓場から這い出して、生きるために読む文学。