『カケラ』

4月24日。ユーロスペースで『カケラ』。

冒頭、いきなり満島ひかりが早稲田という設定でウケた。そうだったのか。そこそこの大学生活。そこそこの彼氏。だぼだぼの服、リュック。そこにあらわれるリコちゃん(中村映里子)というのは、アリスのチェシャ猫的でもあり、キム・ギドクの『サマリア』におけるチェヨンのようだったりもする。ちょっとした異界への誘い。

でもそっからの「異界」がどうにも視界不明瞭なのがいい。ボソボソとなげやりな喋り方のハルちゃんと、舞台女優のようにはっきりと小気味よく喋るリコちゃん。二人はぐるぐると似たようなとこを廻り、うざくなって、好きになって、夜を過ごし、もっと異界へと進むわけでもなく、かといって現実へと立ち戻ろうとするわけでもない。

満島ひかりの「無」の表情、脇毛、セックス・・・でも虚無的な映画でないのは彼女があまり心情を語らず、中村映里子も同じく語るよりも行動するからだろう。自転車とか、小走りに渡る陸橋とか、身体がいつも音楽とともに跳ねている。(そう、ジェームス・イハの音楽がズルいくらいによかった。『リンダ・リンダ・リンダ』もイハだったし、なんだろう?少女映画のサントラならオファー受けるのかな。)

放り投げて交換されるペットボトル。開け放たれた窓。そして肉体の欠損。でもまあそういった欠落、喪失感を埋めるものはテクニカルな問題だったり、精神的な問題だったり、まあ色々ありすぎて分からない。だからもうね、ア”ーーーーーッツって叫ぶしかないのかもしれないよ・・・という感じで、そのあたりのヤケクソさも含めて好きな映画だと思いました。