テオ・アンゲロプロス特集@ユーロスペース

アレキサンダー大王』

208分。『アレキサンダー大王』がコントの主人公のようだが、そのシュールさをものともせず壮大に堂々とコミュニズムを語ってみせる。宮崎駿だったらこの物語をもっと短くて単純な冒険活劇にしてくれるだろうなと思いながら、長大な物語でしかなしえないものものが確かにあるんだなと思う。

『狩人』

旅芸人にも匹敵するもの凄い映画だった。172分。カメラがぐるりのその場所を360度パンする間に、時間が自由に行き来する。パルチザンの死体の存在感がすごくて、逆に生きているものたちが幽霊のように動き、しゃべる。存在しない架空のボールでのPKごっこのシーン、存在しない男とのセックスのシーンなどからも明らかなことは、幽霊が現在を支配しているということ。

霧の中の風景

125分と、アンゲロプロスにしては短い映画だった。陰鬱な幻視と現実の物語。巨大な建築機械とか、川からあがる巨大な手のシーンが圧巻だった。漢字一文字だと「霧」。

『エレニの旅』

重厚にして長大な叙事詩。長く感想を書くのも大変なので、漢字一文字で書くと「船」。

旅芸人の記録

すごいものを観た。この4時間の豊かさは、他の映画では代替出来ない。浜辺のダンスシーンで涙が出た。繰返し繰返し、語られ、演じられる芝居は、いつまでたっても美しく完成することがない。時が流れ、人が死に、出演者が変わっても、芝居は続いていく。

エレニの旅 [DVD]

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