『六つの教訓物語第六話 愛の昼下がり』

ユーロスペース「エリック・ロメール追悼特集上映 アデュー ロメール」。『六つの教訓物語第六話 愛の昼下がり』。

教訓物語・・・といいつつこれは、エロ妄想の絶えない男のちょっとした冒険の日々を描いた物語であり、このかっちょわるい話を教訓だとかモラルだと名付けることで、なんとか慰めを見いだそうとしているようで、たいへんに素敵なタイトルだと思う。まるで教養高き映画のように思えるではないか。

美人過ぎる妻とかわいい子供がいて、仕事も順調なフレデリック。そこに飛び込んでくるモンスターとしてのクロエ。なんとなく彼女を受け入れちゃって、でも不倫に及ぶわけでもなく、ダラダラと、でも緊張感を持ってその関係が進む。クロエのブスでかわいい感じ、ちょっと恐ろしい感じと、男のやさしさ(と同時に決断出来ない情けなさ)が映画の中で均衡を保ちながら進むので、いったいどういう終わりが待っているんだろう・・と思ったら、奥さんに向かって泣きながら「寝室へ行こう・・・」だったので笑ってしまいつつ、恐ろしいような不思議な感じにとらわれた。これは愛についての物語ではなく、やっぱりタイトル通りの教訓についての物語なのだ。(でもきっとこの教訓を学べるものはいない)