ジャック・ロジエのヴァカンス『アデュー・フィリピーヌ』

土曜日。ユーロスペースジャック・ロジエのヴァカンスアデュー・フィリピーヌ』。

かわいい女子2人と、かっこいい青年(でもちょっと頭悪そう)が、ダラダラと遊ぶ映画。本当にそれだけで、そこに熱いセックスもなければ、男女の恋愛の機微もなく(ちょっとはあるかな?)、深淵なる人生の意味もない。夏の陽射しと、もうすぐ兵役という事実と、海があるだけ。ただそれが美しくて、誰に感情移入したりするわけでもないのに、なぜか感動してしまう・・・という罠にかかってしまった。

いやー、ロジエ3本観て、色々と考えさせられた。映画を観て何かを語って、それで何かを言ったつもりになっているけれど、こういう映画の前にはなんと無力な営みであることか、と。自由で、生き生きとして、よくわからない力に満ちている。

アデュー・フィリピーヌ』『オルエットの方へ』『メーヌ・オセアン』の3本は、毎年夏にどこかの劇場で上映してほしい。そしてあまねく全ての都会の住民に、夏の楽しさと虚しさを残酷なまでに感じさせてくれるといい。