『これでいーのかしら。(井の頭)怒る西行』

引き続きレイトショーで『これでいーのかしら。(井の頭)怒る西行

衝撃。本当に沖島勲監督がスタッフの女の子とおしゃべりをしながら、久我山あたりから玉川上水添いに井の頭公園まで散歩するだけの映画。余りのそのまんまさに、はじまってすぐに、おそらくこれが97分続くのだろうことが分かった。。

更に驚いたことには、このどうやっても退屈してしまいそうな散歩におつきあいするのを、観客である自分が積極的に楽しんでいることだった。監督の蘊蓄があるんだか無いんだかよく分からないお話をだらーっときいて、適当に相槌をうって、知らないことは後で調べたりして、でもまあ特にオチがあるわけでもない話を淡々と聞き続けてみたい、どうせ終わりはあるのだから。散歩にも、人生にも。

この映画には散歩道と、風景と、わずかな人たちしか映らない。だけど、監督の言葉や視線の先には、人類や地球や宇宙の不思議が捉えられているのだ。それを感じる。だからこれは多分、SF映画でもあるんだよ。21世紀の東京を歩く、過去にも未来にも行ける、異次元人のお話。

映画が自由であるように、僕らの人生も自由でいいはずだと、自分の親父(よりちょっと年上)の沖島監督に教えてもらった。風にそよぐ木がきれいだった。