「倫敦から来た男」

1月10日。シアター・イメージフォーラム「倫敦から来た男」

光と影だけの世界に繰り広げられる夢とも言えない因果なるレアリスモ。
金縛りにあったら身を任せよう。これでも始まりと終わりがあるのだ。
―――細野晴臣さん(音楽家

まさに「これでも始まりと終わりがあるのだ」と思わないことには、あまりの長回しに熟睡するか、気がどうにかなってしまうかの2択しかないような、そういう種類の映画。2時間15分の間に何度も意識を失い、その度にさっきからほとんど時間が過ぎていないこと、場所が変わっていないこと、カメラが動いていないことに気づく。これほどにまでに辛い体験を映画館でしたのは久しぶりだが、今になってみるとこれをもう1回体験してみたい・・というドMな心もざわめいたりする。

(そう言えば去年の金縛り系映画No.1は同じくここで観たペドロ・コスタの「コロッサル・ユース」だった。2月にはタルコフスキーの特集上映もある。シアターイメージフォーラムは我々に睡眠との戦いを決意しろと囁いているようだ。)

親切で、やさしくて、かんたんな映画に疲れてしまったらこの映画をまた観よう。そんなことを思った。大事な何かを思い出すような気がする。