「壁の中の秘事」

2本目は去年シアター・イメージフォーラムでも観た若松孝二『壁の中の秘事』。

この上映の後に中原昌也氏、真魚八重子氏によるトークショーがあったのだが、そのなかで情事の背景にうかぶスターリン像について「本当は興味ないくせにああやって思想的なことを入れたがる(笑)」という若松孝二監督評があって面白かった。いやそんなことはないと思うのだけど。まあ、去年観たばかりだか余り印象は変わらず。自殺するおばさんには苦悩の表情が一切現れない(描かれない)のが怖くて面白いと思った。

トークショーも実に盛況で、ためになる話がいっぱい(嘘)で楽しかった。「曽根中生さん、ここに来てたりしませんか?」という冒頭から、この人は「こういう映画が作りたい」というのがそもそも無かったんじゃないか・・・という仮説に基づき、この奇妙な映画作家の全体像をとらえようという試み(というか雑談)が繰り広げられ、俺もこんなふうにダラダラともしくはめり込むように映画を見続けようと心に誓った新年でした。