まつきあゆむ「一億年レコード」

ある日Twitterでフォローされて偶然知った音楽家。(いや名前は知ってたけど、音楽は聴いたことがなかった)

http://twitter.com/matsukiayumu
http://matsukiayumu.com/

「1000人Twitter」という曲がその日のうちにアップされてて、これがその経緯。↓ 曲を聴いてとてもこーふんした。その瞬発力と可能性に。ちょうど自分もようやくTwitterのタイムラインにすっかりハマっていたし、なんかすごく気持ちのいい曲だった。

昼に、気まぐれでtwitter1000人フォローしたら一体どんな世界があるんだろうと思って、なるべく自分と気が合いそうな人たちをひたすらフォローしてました。

で、3時間くらいかけて1000人フォローしてタイムラインを見てみたら、そこにはなんかすごいいろんな人生とか時間が滝のように流れていて。


そこに今日知り合った人から「そのつぶやきを歌詞にすれば?」っていわれて、ぱっとなってやるなら今しかないと思って、0から作りました。

自分のタイムラインにあったつぶやきを目についた順に無作為に歌っていって、バックトラックも瞬発力で録音しました。

その模様も例によって全部、ustreamで配信しました。
http://d.hatena.ne.jp/matsukiayumu/20091118

その後、12月1日に以下の宣言がなされる。

僕みたいな音楽家にとって、従来の大規模音楽ビジネスの中にいるとこっちもむこうもお互い機能しないなって最近思ってました。

必要なのは、本当に欲しい録音機材を手に入れる事や創作したり録音するための時間をある程度自由にとったり、売りたい値段で売りたい時に音楽を売ったり(あるいは速攻でフリーダウンロードにしたり)、そういうすごい単純な事だけです。

実態のない大勢の誰かに自分の大事な音楽を投げつけてみるより、今こそ、僕の音楽に興味を持った人へ1対1でそれを手渡ししたいと思ったんです。

そのために僕はインターネットとか肉体的に使えそうだぞ、と。


だからダブルアルバムに関しては、どこも通さず自分で売ります。著作権も僕に帰属し、自分で管理します。音楽をダイレクトに聞く人に渡していきます。
http://d.hatena.ne.jp/matsukiayumu/20091201

そして2010年の1月1日に、「1億年レコード」が発売された。買い方は、彼にメールすること。それだけ。そしたら本人からメールがかえって来て、銀行振込かPaypalが使える旨の案内がある。僕はPaypalの口座があるのですぐに支払いをしたら、ダウンロードの仕方をメールで教えてくれます。それだけ。本当にただそれだけのこと。Amazonよりも早く届くし、iTunes Storeみたいに(作り手側にとって)登録が面倒だったりもしない。

そしてアルバムをダウンロードして、それから1週間ずっと聴いている。音は工夫に満ちていて、歌詞はセンチメンタルでありつつ恐れを知らぬ宣言ではちきれそうに膨らんでいる。この2枚組アルバムの音は新鮮で力強くて、iPodのイヤフォンから流れるこの音がずっと心地よかった。

「MP3でも全然泣ける」とは、パッケージされたCDやレコードへのノスタルジーで、死にゆく(?)音楽産業への憐憫とも哀惜ともとれる感情を吐露する人たちへの、なんとも軽やかで鮮やかなメッセージである。今までのやり方が死んで行くからといって、音楽が死んでいくわけじゃない。新しい道が出来るだけ。うん、こぐまレコードも積極的にパクってやっていきたいと思うんだけど、いかがなもんでしょう?

あと、歌詞がちゃんとJPGだけじゃなくてPDFでも同封されているから、引用も超ラクチン。

rec start guitar go go /取り払う壁Like a DragonAsh
You Watch Now Ustream/128k bit 毎秒
逆境に/死して浮かぶ瀬/12年越しのATフィールド
「Mp3でも全然泣ける」と強気につぶやくGuys


追々君はわかるだろうな
僕の裏側/全部
わいわいしても/楽しくないと
笑顔が/笑ってないよ


ああ/未来ってなんだっけ!?
実家の周り/どんなんだっけ!?
そして心のハードディスクを/どんどん上書きする


from「時代の壁を乗り越えよう。」