豊田道倫with昆虫キッズ@渋谷O-nest

12月29日。もう何年目になるだろうか?自分の中では年末の恒例行事となっている豊田さんのライブ。餅つきとか第九とか紅白とかガキの使いとか、もうそういうレベル。豊田道倫という歌手はそういった恒例/日常を異化してしまう存在でもあるのだけど、僕にとってはこの年末のライブで毎年その1年を後悔したり楽しいことを思い出したり、そして来年に想いをはせるという、かなり大事な年末の行事なのである。

金野さんの挙動不審な司会で始まり、第一部は昆虫キッズ。どうやったらあんなに素っ頓狂になるんだろうと思うくらいのボーカル(単に音が外れてるだけとも言う)と、凶器のように可愛いベースの野本さんの声と、様々な楽器が混ざり合う。音を出さずにはいられない人たちの音。

第二部は豊田道倫弾き語り。内田直之によるPAが、いつものギターと声を少しだけゆがめる。「友達のように」を聴くとライブハウスにいるのに、一人で布団の中にいるような気になったりする。

そして第三部は豊田道倫with昆虫キッズ。アルバムの曲全部やったんじゃないだろうか。「抱っこ先生」すばらしい(とくにコーラスが)。「夏に向かって」とか「City Lights 2001」とかのゴリゴリにロックな感じに圧倒されて、だんだんと会場も熱くなって、後半はまさかのみーくんダイブも飛び出して、とんでもないものを目撃したと思った。アンコールで「悪い夏」がめちゃくちゃポップなバンドアレンジで演奏されて、野本さんに「みーくん泊めてよ」「海のあるところに来ています」とかコーラスさせるのはもう素晴らし過ぎて息を飲んだ。「River」もよかった。「移動遊園地」でシメ。かと思ったら鳴り止まぬ拍手で最後に昆虫キッズの「ピート・タウンゼント」。再び繰り出されるみーくんダイブと、それを受け止める客席/撮影する人たち/あっけにとられる人たち・・・この日は最後まで「ロック」だった。

なんというか、やっぱりこの1年、自分はとっちらかったままに過ぎたような気がするし、それなりに良かったような気もするし、正直よくわからない。それでもこうやってライブハウスで歌を聴き、多くの人と時間を共有しているときに、なんとも言えない感情に襲われる。名前をつけれらないその感情のことを考えながら、渋谷から家に帰った。