「キャピタリズム マネーは踊る」

土曜日。シャンテシネで「キャピタリズム マネーは踊る」。原題は"CAPITALISM: A LOVE STORY"。

マイケル・ムーアすごい。堂々たる映画。逃げず、ひるまず、怯えず、何一つ恥じる事無く、立ち向ったのは資本主義。ドーン、とそびえ立つ現代のゆるぎなき思想に真っ向からぶつかっている。別に理論武装もない。コネもない。ハンサムじゃない。軽口や揚げ足取りは軽妙だが、緻密な議論が出来るほどの情報も(おそらく)ない。それでもムーアは立ち向かう。武器はカメラと、世界中のニュースのコラージュと、「自分で考える事」だけ。

そう、マイケル・ムーアはただ、わからないことには「わからない」と素直に言い、おかしいと思うことには「おかしい」と言ってるだけだ。デリバティブの説明を受けてるシーンの「なんやねんそれ・・・」という困った顔は最高だった。でもそれが今、本当に貴重な行為であると思う。

多くの人(僕も含めて)がわかったようなふりをしたり、「現実的には・・」などとしたり顔で話す事をマイケル・ムーアは全力で退ける。そして行動、記録、思考。

だから本当に、この映画はA LOVE STORYなんだよ。ふざけてるわけでもなんでもなく。「インターナショナル」も本当にそのまんまの意味だ。世界の人たち、団結せよ、ほんとに洒落でもなんでもなく、2009年にそう言っているのだ。これほどの愛に溢れた言葉を他に知らない。マネー・エンタテインメントなんかじゃない。これは本物の愛のメッセージの映画。