「アンナと過ごした4日間」

日曜日。シアターイメージフォーラムイエジー・スコリモフスキアンナと過ごした4日間」。

曇り空しかない街。陰鬱すぎる人々の表情。子どもたちの姿が皆無な田舎町の風景。病院、病人、警察、警官、犯罪、逮捕・・・何一つ楽しいことは描かれない映画。

ただ、その中で、暗過ぎる夜のなかを、そっと彼女の部屋に忍び込み、そっと一夜を(つーか4夜を)過ごすレオンの表情には、哀しみとか辛さではなく、淡々とアンナさんを愛する(彼の「愛する」の定義が一般とは違うのは間違いないが)ことだけが宿っている。このレオンの表情が素晴らしいので、ほとんどセリフのない映画なのに、何かが豊かに語られているような気がしてしまう。救いは一切ないんだけど。

救いはない。奇跡もファンタジーもない。レオンは(アンナも)幸せになれない。ただ、だからこそこの「4日間」を映画にする必要があるのだろう。誰もが人生の中で長さの違う「4日間」を持つのだから。