「母なる証明」

先週の日曜日。吉祥寺でアンヴィル観た後、井の頭線に乗って渋谷に戻って、シネマライズポン・ジュノ母なる証明」。

どうしても「殺人の追憶」(名作だった・・)を思いだしてしまうミステリーだけど、こんどの映画はあれとはちょっと違う怪獣映画だった。「母」という怪獣がガオーと吠えて、街をグシャッとつぶしていくような悲しくも力強い感じ。最初から最後まで、一度たりとも「母」の名前は名乗られることもなく、呼ばれることもない。息子の母である、それだけが彼女の存在証明。

冒頭のダンス、クローゼットから覗くいやらしいシーン、ポンチャック(?)みたいな曲のカラオケシーン(密かに爆笑した)、壮絶な拷問、そして浮かびあがる殺されたアジョンの生活・・・緊張が続くが、それが心地よい。重苦しいが、ずっと見ていたくなる。

観て元気が出る映画ではない。観て清々しい映画ではない。悲しくて泣ける訳でもない。もちろん笑うところはちょっとしかない。それでも画面に吸い寄せられるこの映画の強度たるや。