「ひとりで生きる」

日曜日。ユーロスペースヴィターリー・カネフスキー特集上映

冒頭の雪のシーンを見て、ああ俺は映画の中で、見渡す限りの雪のシーンが大好物だということに気づく。「ファーゴ」「シンプル・プラン」「八甲田山」「松ヶ根乱射事件」・・・他にも色々ありそうだけど、真っ白なスクリーンの中を、人物が動いているだけで美しいと思ってしまうんだと思う。

「動くな、死ね、蘇れ!」を更にひどくしたような、まったく救いのない物語。「動くな・・」ではまだワレルカがアホな少年であるがゆえに救われた部分もあったけど、少しだけ大人になったワレルカは、切ない、これ以上はないくらい切ない表情を繰返し、どんづまりへと向かって行く。動物たちは殺されるために生まれ、少年少女は腐っていくために生まれる。

でも、それでも人生は美しいと言いたくなるような気がしてしまうのは、この映画が嘘をまったくつかないからかもしれない。都合のよい嘘はない。船は去って行く。だけど、ぼくらはその船に向かって声を限りに叫ぶ。「ひとりで生きる」ことは出来ない。