「それでも恋するバルセロナ」
土曜日。目黒シネマで「それでも恋するバルセロナ」。
面白くてビックリした。なんという恐ろしい映画。ヴィッキー、クリスティーナ、そしてフアン・アントニオ。この3人ともををまるで他人事のように突き放して描きつつ、結局のところはロマンチックでもなく、悲劇でもなく、笑えるわけでもないなんとも中途半端な一夏の物語にしてしまって、なおかつそれが滅茶苦茶面白いのは・・・きっと自分がオッサンになってきているからかもしれない。
若者目線で見たら、こんなバカバカしくて、教訓も何もない映画をみたら時間を無駄にしたと言って怒るのではないだろうか。それでもってウディ・アレン爺さんに「人生そのものが時間の無駄だよーん」とか言われて更にキレるんじゃないか・・という気もする。
ほとんどピンク映画的な構成で、誰と誰がやったりやらなかったりして映画が進むが、ペネロペ・クルス演じる元妻が出て来てさらにカオスになる。スカーレット・ヨハンソンのハマりっぷりにも、ハビエル・バルデムのよくわからないモテ具合にも、ペネロペの怪演に笑ってしまうが、やっぱりヴィッキーの普通さとエロさの具合が実は一番面白い。一応、ペネロペとスカーレット・ヨハンソンの2大看板で売った映画だけど、真の主人公はもう一人いるという。
まあ、こういう、やった/やりたい/やってない・・・という悶々とした系の映画で面白いのは、登場人物たちがもはや自分が何をやりたいのかを把握出来なくなってしまっているのに、行為だけはなぜかやってしまうというところで、人間というのは複雑というと聞こえがいいが、単に支離滅裂なだけなんじゃないかと思ってしまう。
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