「ライブテープ」東京国際映画祭 インターナショナル・バージョン

月曜日。8月に見て以来2度目のライブテープ。英語字幕付きのインターナショナル・バージョン。六本木ヒルズのスクリーン2は巨大だった。あと、東京国際映画祭で日本の映画を見るのは随分久しぶり。ひょっとしたら三池崇史「天国から来た男たち」以来かも。というか六本木ヒルズに映画祭が来て以来初めて来たのかも。

最初に見た時よりも更に画面に引き込まれて、どんな些細な音でも聴きもらすまいと、どんな些細な映像でも全て見てやろうと、そんな意欲をかき立てられるような体験だった。

ポレポレ東中野で見たときには気づかなかった音の変化や、ちらっと映る街の人の様子や、微妙な光の加減とか・・・びっくりするぐらい集中して74分が過ぎた。前野健太がちょっと後ろを向いて歌うだけで音の向きが変わったり、アーケードにかかると微妙にエコーがかかったりして、マイクの臨場感が尋常じゃない。

クライマックスでぶんっっとボリュームがあがった瞬間、自然と涙が出た。なぜなのかは分からないけど、分かりたくないような気がする。そこに映っているもの/聴こえているもの、全てがその時、その瞬間にしか有り得ない稀なものであるという感覚。その稀さに泣くのかもしれない。このテープに記録されているもの全てが、何か意味があるような気がして、いや俺も毎日をそんなテープのように生きたいと思ったりして、泣くのかもしれない。

上映後の質疑応答も非常に面白かった。「失楽園で抜いてた18の夏」の歌詞の話から、黒木瞳と川島なおみの話になって、それをちゃんと訳そうとする通訳さんナイス。元日に撮影することになった理由の一つに「どんな人も元日に自分が何をしていたかは憶えているから、この映画を見て自分はこの同じ時間、2009年の元日に何々をしていたなと思って欲しい」というのはグッときた。あと「スクリーンの前の人が最初の観客になる音楽映画」というのも、まさに!と思った。初見のときにこんな映画は見たことがないと思った理由は多分コレだ。

上映後、ヒルズの外にて沢山の人に囲まれる松江監督にご挨拶して帰ろうかと思ったが、人が多かったのでそのまま帰宅。夜風が強かったが、なんだか勇気が湧いてきたような気がしながら、街を歩いた。ギターをかかえているつもりになって。