「悪い男」

悪い男 [DVD]

土曜日。シネマアンジェリカでキム・ギドク「悪い男」。

公開時に見にいって以来、2度目のスクリーン。あのときはキム・ギドク初体験だったため、その世界観に戸惑い混乱したが、今回はじっくりと浸ることが出来た。

当時は余計だなーと思っていた浜辺のラストシーンがとても良かった。あと、セリフだとか表情とかよりも、なんでもないようなシーンが絵画のように雄弁だったりするのがキム・ギドクなんだけど、ガラス窓が並ぶ娼館ストリートはギドク映画の名シーンの中でも屈指の名ロケーションだと思う。「鰐」の水中とか、「サマリア」の車とか。

浜辺で海へ入って行く女を見るシーンは、女が世を儚んで自死するラストでもあり、あそこで女が世界を受け入れる、というスタートでもあって、あのタイミングでしか有り得ないシーンなんだけど、あれが映画の真ん中にある、というのが実に美しい構成だということに今回は気づいたのでした。