「ロボゲイシャ」

台風が接近しつつあった水曜日の渋谷。シアターNで「ロボゲイシャ」。

なぜか尻刀での戦いのシーンで泣きそうになる。「いやーん、恥ずかしい」「恥ずかしい・・・」と言いながらヨシエとテングンの二人が戦うシーンは、ヨシエがお姉ちゃんと戦うシーンよりもグッときてしまった。なんというか、こんな風に戦うことしか出来ない彼女たち、というのが、こんな風にしか映画をとることが出来ない井口監督というのと重なってしまって、それは全然悪い意味ではなく、「こういうやりかたしか出来ない」ということの強さを見たような気がして。

「ギリギリデートに使える(笑)」ために、血糊とエロはかなり抑えられているが、それは片腕マシンガールと比べての話であり、普通の基準でいったら完全に度を超した映画であることは間違いない。でも映画の構成としてはスタンダード過ぎるくらい王道の構成なのが面白い。

井口昇映画における「ヨシエ」は石井隆の映画における「名美」みたいだなあと思っていたら、監督がその通りのことをインタビューで言っていて、ちょっと嬉しくなった。そして姉妹が織りなす陰と陽。最近だと「スラムドッグ・ミリオネア」の兄と弟のように、どちらか一方だけが輝き、片方が沈んでいく・・という物語が多い中、それを「合体」というソリューションで超越してみせたのが素晴らしい。(同時に「救う会」の家族たちの物語はキッチリと悲劇の典型の枠内なんだけど、それがまた悲しい。)

「地獄へおいでやす」どころかこんなに愛情に溢れた映画はないと思うので、本当にデートに使ったりすると、真実の愛に近づけるのではないかと無責任に思います。