キューバ映画祭2009「シュガー・カーテン」

ユーロスペースキューバ映画祭2009。「シュガー・カーテン」

革命の黄金時代、70年代後半から80年代にかけて子供時代を過ごした「革命のパイオニア」たち。衣食住に不自由することなく、お金なんて必要ない、この革命を推し進めるのだ、と思っていた子供たちも、今では30代。その多くが国外に出ている。その中のひとりであり、ドキュメンタリー映画の監督だった母、パトリシア・グスマンとともに、2歳の時に、チリからキューバへ亡命したカミラが母を初め、地元に残っている同級生たちや海外に出た同世代の音楽グループで初のキューバ凱旋公演を果たした「Habana Abierta」のメンバーたちをインタビューしながら、国と人々がどのように変わっていったのかを探るドキュメンタリー。

まさに自分と同世代のキューバの子どもたちが、30代になった今、過去を振り返っている。みな優しそうで、賢そうで、でもどこか疲れたような表情をしていた。誇り高きキューバ革命の子どもたち。しかし理想の社会は1世代も持たずに苦境を迎えている。

でも、彼ら、彼女らが、ことさら暴力的になったり、自暴自棄になったりせず、現実を受け入れているように見えるのは、やはりちゃんとした教育を受けたからなんだろう。戦争や貧困がなく、みんな平等に教育、医療が受けられて、楽しく平和な社会。それを一時でも体験した人間は、苛烈な競争社会や格差社会を望まない。

もしかしたら日本の団塊ジュニア世代も似たようなもんなのかな?と思ったりして。