「クリーン」
土曜日。シアターイメージフォーラムでオリヴィエ・アサイヤス「クリーン」。
「レスラー」と似た構図の映画。(でもこの映画は2004年だからこっちの方が先か。。)諦められない夢があること。夢の世界の住人でいること。家族とは何か。人はその置かれている状況に応じて都合良く、「自分が心地よい場所」と「家族」の優先度を変更することが出来る。(でもそんな人間のことを責められる人がどれだけいるだろう?)
これはエミリーがジャンキーから更正する物語でもなければ、ミュージシャンとして成功する物語でもない。最初から最後までは彼女は劇的には変わらない。ただ、ちょっとだけ、変わろうと思ったりするだけだ。徹底してアンチクライマックスな物語は、バンクーバー、パリ、ロンドン、シスコと場所だけは気前良く移動するけれど、彼女は状況の変化ほどには変わらない。
その変わらなさを受け入れること、というのは映画としては辛いテーマだけど、ぼんやりした音楽で騙されてしまうような気がして、まあ、そんな感じでもいいのかなという曖昧な感想に落ち着く。「レスラー」のとてつもない感動との差は何なのだろう?と考えてしまった。エミリーにははなんだかんだ言っても絶望的な孤独にはほど遠くて、そこそこ友達もいるからかもしれない。