こんな時代に「紅の豚」を見る。

紅の豚 [DVD]

紅の豚 [DVD]

DVDで「紅の豚」を見る。何回目か分からないけど。

wikipedia:紅の豚にはポルコ・ロッソは36歳とある。そうか36歳というのはこれくらい渋く、そしてキュートでなければならないのか。

なぜかは分からないけど、中盤の飛行艇を女性ばかりで作るシーンで号泣。なんと素晴らしいシーンだろう。ミラノのピッコロ社は倒産寸前であり、ポルコのおかげで仕事を得るのだが、「人殺しの飛行機を作る罪深き私たちをお許しください」・・・みたいなセリフも、折しも金融危機の時代にいることと、この恐慌の時代を舞台にした映画を重ねあわせるとなんとも感慨深い。そして雲の中の滑空と「あの世」としか言いようのない飛行機のシーンの美しさと言ったら。。

ポルコ・ロッソはコミュニストであり、ヒューマニストであり、ニヒリストであり、ロマンチストの豚である(おそらくは)。そして豚は何よりも名誉を重んじ(格好ばっかりつけて)、多くの人の死を背負いながらも、そして不格好な殴り合いを演じながらも、死なずに生きている。そんな豚に憧れてしまうのが、この恐慌の時代に生きる、飛行機を操縦することも出来ない36歳なのである。あーあ。かっこいいけど、かっこわるい。なるほど、今なら分かるなあ、「紅の豚」の美学が。