イントゥ・ザ・ワイルド

久々に映画を見に行った。(「ダークナイト」を見てから1ヶ月以上経っていた。今年は映画100本ペースかな?なんて思っていたのだが予想外のペースダウン。)シャンテ・シネでイントゥ・ザ・ワイルド

予告編を見た限りでは、もうまったく興味の範囲外という感じだったのだけど、割と評判もよいみたいだし、招待券もあるしという感じで見に行った。

で、結論としては、やっぱり予告編を見た時の予感は大きくは崩れなかったけれども、やはりそんな中でも真摯な映画だけが持つ何かがあって、そういうところが評判がいい理由なのかな?と思ったのでした。ホントに真面目な映画。

優等生で、親との激しい確執があって、文明社会に深い絶望を抱えていて、into the wildしちゃう主人公というのは、もうまったく自分とは正反対の人間だ。僕はぬくぬくしたインドアとテクノロジーが大好きで、アラスカで野生に身を投じるなんて狂気の沙汰としか思えない。だいたい、彼が大学で得た知識や、文明社会を否定する哲学や、そもそも肉の保存の仕方や野草の食べ方だって、全てが人類の作り上げて来た「文明」の成果なのだ。だからヒッピーはあまり頭がいいとは思えないし、この映画はそういうあたりも正直に美化しすぎることなく描いている。だけど、やはりクリスの「若さ」は魅力的に映るんだろうね。特に歳をとればとるほどそうなのかもしれない。ただ僕には彼はそれほど魅力的じゃなかった。あんだけカワイイ女の子を前にして禁欲的に行動出来るなんて、まったくもって度し難い変人である。

だけど、クリスが最期に見る風景は、もしかしたら自分が最期に見る空と同じかもしれない。死ぬ瞬間に人は何を思うのだろう。人生への感謝か、深い哀しみか、叡智の獲得か、それはその時になってみないと分からないのだけど、そのことを誰かに伝えるのは難しい。クリスの最期は、彼の遺した言葉から、そしてこの映画から、多くの人に伝わった。それは実際には、一体どんな感じなのだろう?と想像してみたら、なんだかとても悲しくなってしまい、アラスカの風景に"It's So Cold In Alaska"とルー・リードのように歌いたくなった。

Stephanie says that she wants to know
Why she's given half her life, to people she hates now
Stephanie says when answering the phone
What country shall I say is calling from across the world

But she's not afraid to die, the people all call her Alaska
Between worlds so the people ask her 'cause it's all in her mind
It's all in her mind

The Velvet Underground - "Stephanie Says"