新しい太陽のウールス

新しい太陽のウールス  (ハヤカワ文庫 SF ウ 6-9)

新しい太陽のウールス (ハヤカワ文庫 SF ウ 6-9)

新しい太陽の書」4部作の続編。1987年になって出版された「新しい太陽のウールス」読了。

わたしはつぶやいた。「魂のことはなにも知らない」
「ある意味で、それは詩の一行のようなものだ。ファミリムス、きみが引用した詩句は何だっけ?」
バルバトゥスの妻が歌った。「目覚めよ!夜の椀の中に、朝が石を投げ込み、星々が逃げ出す」
「ああ」わたしはいった。「わかった」
バルバトゥスが指摘した。「あの壁にわたしがこれらの詩句を書いたとしよう ーそれから、それらを再びあちら側の壁に書くとしよう。どちらが本物の詩句だろうね?」
「両方とも」わたしはいった。「そして、どちらでもそうでない。本物の詩句は書いたものでもないし、喋ったものでもない。それらが何なのか、わたしにはわからない」

この4部作+続編とは、壮大な一つの物語でありながら、物語を語るとはどういうことなのか?物語を読むとはどういうことなのか?についての書物でもある。読者として、これほどの喜びはない。読むということは決して受身な行為であってはならない。これは僕がごくわずかながら持っている信念なようなものでもある。

新しい太陽の書」を読み解いて来た人たちのアーカイブultan.net: 新しい太陽の書。じっくり読もう。