「闇の子供たち」僕らにも値札がついている。

日曜日に見た映画。シネマライズで「闇の子供たち」。幼児売春と臓器売買をめぐる「映画」であってドキュメンタリーではない。ただ、多くの人はこれを擬似的なドキュメンタリーとして見ただろうし、僕も当然そのような視点で見た。出演者が宮崎あおい江口洋介妻夫木聡という豪華さで、それがなんとく権力的な映画という印象を与えるのだけど、色々と議論になりそうなラストを含めて、その志の高さは十分に届くものではあった。これを映画として評価することは避けたいと思うけど、描こうとしている核の部分はやはり映画としてしか描けないものだ。つまり「人間」がただ生きるだけで背負う罪深さのようなもの。

出演者目当てだろうか?それとも朝日新聞か何かで映画評が良かったのだろうか?映画館には品の良さそうなおばさんが沢山いたし、若者たちもみんなお洒落でお金持ちそうな人たちばかりだった。あの人たちにはペドフィルのオッサンの毛むくじゃらのケツのアップのシーンは耐えられただろうか?この映画を見て「悲惨な現実を直視しなれば」「私たちにも何か出来ることがあるかも」と言ったウソばっかりの映画評を書くことは出来ない。みんな明日になれば自分のことで精一杯で、ゴミのように捨てられる子供のことを考える暇なんてないのに。ラストの桑田圭祐は失笑。なんでこんなんが主題歌やねんアホかと思うが。

阪本順治監督の映画では圧倒的に素晴らしい「顔」ばかりを思ってしまうが、「KT」やこの作品のようなとても難しい作品にも挑戦するエラい人だと思う。wikipedia:阪本順治にもあるように、

2007年1月2日放送の芸能人格付けチェックこれぞ真の一流品だ!!'07お正月スペシャル!で一流監督と素人が監督した作品とを見極めるという主旨の問題で、一流監督として短編作品を監督した。ただし、多くの俳優や芸能人は素人のハリセンボンの箕輪はるかが監督した作品の方を支持し、阪本が監督した作品を支持したのはプロレスラーチームだけという結果になってしまった。

というエピソードがあって、この時は僕も実家でこのテレビを見ていたのだけど、確かに圧倒的に阪本監督の方が変なカットだった。そういう意味でうまくない監督なのかもしれないしこの映画を見てもそう思ったが、その愚直とも言える姿勢でこれからもこういった問題作を作っていくのではないかと思う。つーかそんなことよりもまず原作読んだ方がいいのかな。

闇の子供たち (幻冬舎文庫)

闇の子供たち (幻冬舎文庫)