京都へ

11月27日。東京はホーム最終戦で山形と引き分け。清水に勝った神戸との勝ち点差は1となり、降格するチームの決定は最終節に持ち越しとなった。僕はその時滋賀の実家で食事中で、こっそりと席をたってiPhoneで結果を確認して、舌打ちとため息をついて、席に戻ってビールとかワインとかをじゃぶじゃぶ飲んだ。途中で妻に止められた。

翌日はおばあちゃんの法事で、朝からお坊さんの有難い法話を聴き、親戚や近所に人に挨拶をして、昼はまたホテルで食事で、ここでもビールやら日本酒やらをぐびぐび飲んで酔っ払った。

僕の家の宗派は浄土真宗だそうで、12月4日に東本願寺に納骨をすると言う。12月4日と言えば、京都サンガFC東京の試合のある日で、そんな日に京都駅でばったり両親に会ったりしたらなんて言い訳しようかと思ったが、そういうことがあるのも運命のようなものかもしれないな、と思ってやっぱり京都まで試合を見に行こうと思った。京都から新幹線に乗り、東京へ帰ってきて、家の近くのコンビニでチケットを買った。

ホームゲームこそほぼ毎試合行っているけど、今年行ったアウェイゲームは横浜だけだ。最近は滅多にアウェイには行かない。だけど、やっぱりこんな状況の最終戦を、見届けたいなと思った。

昇格が決まった1999年の新潟戦には行かなかった。バンドの練習でどっかのスタジオにいたと思う。携帯で結果を知って、一人で泣きそうになっていた。今回は、現場にいることにした。結果はどうなるのかはわからないけど、きっとどっちに転ぼうがそれを目撃することが大事なのだと思う。

たかがサッカーで、降格するだ残留するだの騒いで、東京から京都まで来るの?って実家の家族や親戚にはあんまり理解してもらえないだろう。正月にだけ帰ってくるようなあまり親孝行でない息子が、なんの熱にやられてるのか説明するのはなかなかに骨が折れるだろう。だから、来週京都に行くことは両親には言わないつもりだ。

劇的なFC東京の昇格劇から11年。自分の人生になんの真剣勝負もしてない男が、文字通りの他人の真剣勝負のために東海道を西へと向かう。

南無阿弥陀仏」をそのまま信受することによって、ただちに浄土へ往生することが決定し、その後は報恩感謝の念仏の生活を営むものとする。このことは名号となってはたらく「如来の本願力」(他力)によるものであり、我々凡夫のはからい(自力)によるものではないとし、絶対他力を強調する。
wikipedia:浄土真宗

絶対他力。なんと甘美な響き(笑)。だけど、念仏は唱えなければならないのだ。トーキョー、トーキョー そしてyou'll never walk aloneと。勝っても負けても、西京極スタジアムにそれが響く。