『丹下左膳餘話 百萬両の壺』
- 出版社/メーカー: Cosmo Contents
- 発売日: 2007/11/20
- メディア: DVD
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BSで放送していた山中貞雄特集『丹下左膳餘話 百萬両の壺』。29歳で戦死した山中貞雄の現存するフィルムからの放送。
1935年の作品なんだけど、なんというお洒落というかクールというか、ウディ・アレンかと思ったよマジで。会話は軽妙洒脱。セリフで言ったことと真逆のオチになったことを、言葉で説明せずにテンポよく次のシーンでトボケた感じで表現するあたり、現代の説明過多の映画が恥ずかしく思える。百万両の壷をめぐる単純なコメディなんだけど、出てくる人たちがみんな呑気でかわいらしくて、まさに江戸の人情喜劇。(どうでもいいことだけど、くず屋のオッサンが大泉洋そっくりで笑った。)
みんな野望があったりお金が好きとかじゃなくて、嫁さんの支配から抜け出したい婿養子のささやかな願望だったり、ただ居候してればそれでいい丹下左膳のオロオロした表情とか、映画全体から漂ってくる余裕とかユルさがとても良かった。75年前の人の考える面白さとか、映画的な語り口というのが今とそう違わないことにもちょっとびっくりした。