ジャック・ロジエのヴァカンス『メーヌ・オセアン』

ユーロスペースジャック・ロジエのヴァカンス『メーヌ・オセアン』。

ブラジル人ダンサーの女の子が列車『メーヌ・オセアン』の中で、検察係ともめる。彼女はフランス語がわからない。それを助けた女弁護士。二人は一緒に列車を降りて、弁護士の依頼人である漁師の裁判へ。この展開だけでもよくわからない設定なのだが、この後なぜか、ダンサーと弁護士と国鉄の検察係2人が漁師の島に勢揃いするから更によく分からない状態になっていく。

なんでみんながここにいるの?という変な気持ちになりながら、それでも物語は強引に進む。このあたりの適当とも思える物語の羅列とダラダラしたセリフというのは実に素敵で、その流れから始まる夜のダンスのシーンはたいへんに美しく、心を射抜かれてしまった。

なぜかここにいる。なぜかここに集っている。そしてなぜか音楽に合わせて踊る。それを奇跡のようにみせてしまう魔法。ラストの美しさにもやられた。音楽。延々と続く干上がった海。

検察係の一人は『オルエットの方へ』でジルベールをやっていた人で、青いM-65ジャケットを限りなくダサく着こなしていて大変に素晴らしかった。