『サロゲート』

土曜日。ちょうど19時頃渋谷あたりの時間帯でいい映画がなくって、という消極的選択で、渋東シネタワーで「サロゲート」。(TOHOシネマズでは末尾が1か4の年賀状を持っていくと2/28まで1000円で映画が観られるキャンペーン中。なので1000円で観た。→http://www.tohotheater.jp/campaign/campaign00000086.html

人類が手に入れた「完全な身代わりロボット」たるサロゲート。危険を避けるはずの身代わりロボットが、いつの間にかファッション(=こうありたいという人間の願望の発露)として発展していくというテクノロジーの発展の常道とも言える展開が面白い。

ブルース・ウィリスはハゲで重い体のオッサンがオペレーターだが、サロゲートは金髪でピチピチした肌の刑事だし、相棒の金髪美女も家では痩身のオタクっぽい女の子だ。皆が家で青白くサロゲートをオペレートしていて、街には生き生きと働く美男美女たちが溢れている・・・というビジョンはとても面白くって、映像もそれをうまく可視化している。サロゲートの緻密にピカピカに加工された肌の質感と、オペレーターの疲れた肌の対比。サロゲートによって遂行される戦争。。

物語はサロゲート社会に反旗を翻す人権擁護団体と、サロゲート経由でオペレーターを殺す武器、というこの社会における異物をトリガーに展開していく。前半の「世界を描く」パートはとっても魅力的だっただけに、後半の物語がドライブしていく部分にはちょっと色々と不満もあるのだけど、90分という短さもあり、ブルース・ウィリスはきっとこの脚本が好きなんだろうな・・という感じもあり、割と好感。まさに日曜洋画劇場のSFって感じ。

アバター」とも若干かぶるし、リアル/インターネット上での人格 のモンダイでもあるし、美容整形、人体改造、顔の美醜についてというテーマもはらんでるし、あともう一歩踏込めば、サロゲートを使える富裕層/使えない貧困層という階級格差の話にもなるし・・・ということで、世界観としては色々と発展する可能性のある映画だなあと思ったのでした。(あと、こういうテーマの映画はどんなにベタだろうが、なんか観なきゃいけないような個人的嗜好と義務感があったりする。)