絲山秋子『エスケイプ/アブセント』

エスケイプ/アブセント (新潮文庫)

エスケイプ/アブセント (新潮文庫)

京都と(ちょっとだけ)琵琶湖が舞台なのが情景が浮かんできて面白い。40代ってもう自分にとってはそう遠い世界じゃないし、そこに辿り着いた男がつぶやく、諦めや欲望と「祈り」の言葉というのは実に滑稽であり、同時に愛おしい。いい小説を読んだ。あと、高橋源一郎の解説もいいね。人生はコスプレだ。

ページに並ぶ言葉はどれも簡潔で多くの説明はないが、たった一つのセリフへの人生の圧縮率は見事。映画のようにこのオッサンの姿を思い浮かべてしまった。

映画になったらルー・リードの「ワイルドサイドを歩け」がエンディングテーマかな。そして主人公が敬愛するロバート・クインと言えば"Live In Itary"のギターがとてつもなくカッコいい。

Live in Italy (1983)

Live in Italy (1983)