宇都宮徹壱/フットボールの犬

実家への往復の新幹線の中で読了。フェロー諸島のとっても小さなナショナルスタジアムの写真が最高だった。88分まで、ドイツ代表を追い詰めた代表チームの話とかでうるうる来た。宇都宮さんの文章や写真はとても正直で、自然で、そして何より酒とサッカーへの愛がどのページからも伝わってきて、なんだかとても安らぐような気がする。

民族問題、宗教問題、格差問題、政治とスポーツの問題、あるいはテロリズムやフーリガニズムの問題。20世紀から続くこれらの諸問題は、21世紀の幕開けから10年目を迎えようとする現在も、歴として存在する。それどころか、フットボールというフィルターを通すと、より具現化してわれわれの目前に迫ってくるようにさえ感じる。
あとがきより

そんな安らぎの文章の中であっても、フットボールと世界は常に繋がっているということ、人々の生活と不可分であるということ、そこにはピッチで起きている事に劣らないドラマが転がっていることをこの本は教えてくれる。

フットボールの犬―欧羅巴1999‐2009

フットボールの犬―欧羅巴1999‐2009