キューバ映画祭2009「低開発の記憶」
- 出版社/メーカー: Action Inc.
- 発売日: 2008/09/05
- メディア: DVD
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1961 年、煩わしい妻や家族らが出国するなか、「これで小説が書ける」と、ひとりハバナに留まる決意をした資産家セルヒオ。経済的にも精神的にも「低開発」だとキューバを傍観していた彼は、社会と人々が変化していく中で、すがるように人生の記憶を辿りはじめる。
今回見た作品の中では今のところこれがベスト。セルヒオが彷徨う革命後のキューバが、彼の主観で描かれているようでありつつ、同時に外部からの客観的な批評でもあり、そして彼にもっとも足りないのは「人と関わり」であることがよく分かる。世界を批評し、自分を客観視し、周囲を馬鹿にしているセルヒオは、最初から最後まで何もしない。(美少女とアレしてちょっと困ったりするくらいだ)彼の人生はおそらく妄想で幕を閉じる。それがとても切なく、悲しい。
セルヒオはなんとなくマストロヤンニを思わせる風貌で、作品の内容的にも「甘い生活」とか「8 1/2」と似てるなあと思ったりした。
ベニチオ・デル・トロの生涯ベストテンの1本らしい。