「ワルキューレ」
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2009/07/24
- メディア: DVD
- 購入: 1人 クリック: 52回
- この商品を含むブログ (94件) を見る
これは戦争ものとして分類してはいけない映画。ナチスものでもない。これはたぶん「崩壊しかけている組織からいかに脱出するか」もしくは「硬直した組織でいかに革命をおこすか」というモデルケース(というか失敗例)の映画だ。
歴史的にもヒトラー暗殺の「ワルキューレ作戦」は失敗しているので、成功/失敗のドキドキ感はまったく感じない。興味は「どうやって失敗するのか?」に絞られる。その意味で、支持者もしくは潜在的支持者は多くいるにも関わらず、みなが「自分が生き残ること」を最優先にして行動すると一部の英雄的行動をとるもの(この場合はトム・クルーズ演じる大佐)は犠牲にされてしまう・・という悲しい例である。
賛同者の多くが元帥とか将軍という軍隊の中でもかなりの上層部(下っ端でも大佐レベル)というのが面白かった。出世する人間であればこそ、組織の崩壊にも敏感なのだろう。だから賛同者の中には思想的、倫理的にヒトラーを暗殺すべきだ・・という態度の人間よりも、もしもクーデターが成功したら新組織で俺は出世出来るという打算に基づいてる人の方が多いような気がした。
(そういう意味では、戦争末期の日本には「ワルキューレ作戦」的な動きはなかったというのがドイツとの比較で考えると興味深い。)