「サマーウォーズ」

月曜の夜。池袋HUMAXのレイトショーでサマーウォーズ

夏である。「時をかける少女」も夏の映画だったけど、この映画もとことん「夏」の映画。夏というのはやはり青春の舞台として最高なのか。小説だけど「夏への扉」とか、日本映画だと「水の中の八月」「1999年の夏休み」「耳をすませば」とか。。

酒も飲めない少年少女たちが、暑さでぼーっとしちゃって我を忘れたりするからか。普段とはちょっと違うことが出来るのが夏休みだからか。やっぱり夏休みというだけで、なんか普段と違うことが起こってもいいような気がする。そんな感覚を最大限に使ってるのが「サマーウォーズ」。

絵がとにかく奇麗で、全編を通して完璧な線と彩色が続く。クオリティはサイバースペースでも、リアル空間でも同じ。ただサイバースペースハイレゾっぷりは劇場でじっくり見るか、テレビでもちゃんとした画質で見ないと何が描かれてるか見落としてしまうほどで、その絵的な気持ち良さは本当にすごかった。あと溢れんばかりの長野県/上田への愛。

ストーリーの方は、サイバースペースを現実世界を補完する関係として描くような類型とは無縁で、あくまでサイバースペースは現実の拡張のひとつとして描かれる。リアルで強いヤツがサイバースペースでも強い。このあたりは冷徹なまでに現実的。ヘタレが奇跡によって強くなったりするんじゃなくて、ちゃんとリアルを生きてる少年が、偶然とかみんなの助けとかで困難を切り抜けて行く。このあたりは「サマーウォーズ見たら死にたくなった」の気持ちも痛いほどよくわかる(笑)。

本当は、一番ぞくぞくしたのは日本中がパニックになっていくシーンだったりするんだけど、おそらくその瞬間に自分はモンスターの側にいる。世界を破壊するモンスターを期待するのが私のような映画ファンの常なのだ。

だけど、結局のところそのモンスターへと立ち向う主人公たちにも感動してしまったりする。それは倫理的な問題ではなくて、技術的な問題、演出の問題だ。夏の高校野球イカ釣り船。なんちゃらテラフロップス(笑)のサーバー*1とか。そしてつながる世界中の人たち。携帯電話。アバターたちの言葉、言葉、言葉。。

目まぐるしいまでの美しい映像で、アニメーションが情報を頭に運んでくる。効率のよいプログラミングで感動を導く。その辺りの「ロジカルな感動」の見事さはいくら言葉を尽くしてもいいと思う。(そこが出来過ぎで、映画というよりゲームみたいで嫌という感じ方をする人もいるかもしれない)

ただこうゆう映画にあんまりマジな突っ込みは野暮というものだろう。あの脆過ぎる暗号ってなんなんだよ、とか、そもそもバックアップとかDMZとかまったく考えられてなさそうなOZシステムってとか、あの人工衛星の制御もアレすぎるだろうとか・・・そんなこと言ってたらモテないし、彼女を素敵な映画にも誘えないのだよっ!(・・と、もしかしてこの映画を高校生の時なんかに見たら散々ツッコんだであろう自分に言っておく。大人で良かったわー。)