「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」

2007年に「序」を見た時の感想。

まさにrebuildの名にふさわしい。もうさっさと次を見せて欲しいくらいである。

シネセゾン渋谷で日曜日の最終回(それでも満席立見あり)を見ました。序と同じくクオリティは圧倒的に素晴らしい。もう1回見てやろうとかと思うくらいに書き込まれたハイレゾな絵と光と動き。そして美しい音楽。小気味のいいパス回しのような演出。そしてみんなが大好きな相変わらずの意味ありげな台詞たち・・・やっぱり完璧にファンが求めているものを、リビルドしている映画だと思う。したがってラストシーンまでは「まったく別物」という感想は持たなかった。(眼鏡の女の子(テレビ・旧劇場版に出て来ない)は何か*1に向けての皮肉なんじゃないかと思う程に薄い。どうなるのかは次作を待たないとわからないが、今のところは・・・)

クライマックスのシーンは「ラブ&ポップ」を思い出さずにはいられなかった。そして素直に感動した。あれだけのテンションをスクリーンで目撃することはそうあることじゃない。

ヱヴァンゲリヲン的暴力(不条理、生(性)の複雑さ、無意味に思える生、代替可能な個という存在)は更に深く、切れ味を増して我々に襲いかかって来ている。シンジ君はそこに決死の戦いを挑んでいる。なるほど、その姿に感動するのであれば、我々はその姿を目に焼き付けなければいけない。抽象的な「敵」は、抽象的なままに強烈な破壊力を備えている。テレビ版(および旧劇場版)ではそこに対して観念と前衛の映像表現で突撃した(そして破綻し玉砕した)わけだが、今回のリビルドにはそのような戦い方をする気配は微塵も感じられない。(と勝手に思い込んでいる)

つまり次作は、徹底的に具体的でSF的設定が描き込まれた作品になるであろう・・という期待を勝手にしつつ、今はクライマックスシーンを頭の中で反芻している。「破」はまさに破壊の破だった。(と今のところは思っていたい)

ラブ&ポップ SR版 [DVD]

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*1:例えば仮想的な「アニメオタク」という存在や、もはや公認された二次元への「萌え」など