この世界の片隅で
こうの史世さんの絵はとってもかわいいのだけど、ちゃんと軍艦や戦闘機や、空襲された市街が、やさしいタッチでありながら真に迫る感じで表現されている。美化も拡大解釈も、もちろん必要以上に悲劇的でもなく、普通に戦争の時代が描かれる。
最後の数10ページは泣けて仕方がなかった。いや、下巻はほとんど全てが涙で埋め尽くされる程。呉に行ったのは2年前か。夕暮れの港は美しかった。広島と呉は近いようで近くない。そこで繰り広げられる、その時代の物語。「うちはこんなん納得できん!」と終戦の時に初めて怒りをあらわにするすずの涙。「この世界で普通で・・・まともで居ってくれ」と水原くんが言う。
物語中に何度も現れる、呉の港を見下ろす風景がとてもいい。
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