「チョコレート・ファイター」

土曜日。新宿ピカデリーで「チョコレート・ファイター」。朝普通にネットで予約して見に行ったのだけど、初日の初回上映だった。映画終了後に阿部寛さんの舞台挨拶があります、というアナウンスがあって、え?となる。出演してるんだ、阿部寛

その阿部寛演じるヤクザのお父さんと、タイで裏稼業をしていたお母さん。その娘のゼンが、お母さんの薬代のために大暴れするという話なんだけど、まあストーリーはほとんどどうでもいい。とにかくその殺陣の美しさに呆然とする。ノーワイヤー、ノーCG、ノースタント。全てが生身の動きだからこその美しさ(痛さ)。ジージャーはいわゆる美少女じゃなくて、泥と生傷の似合う戦士なところが素晴らしい。まさかキックに萌えるとは思わなかった。

あと、ジャッキー映画のように、あらゆる舞台が格闘のステージになるのも楽しい。豚の解体現場、倉庫、雑居ビルの看板。CGで作られたわざとらしい異世界ではなくて、まさにそこにある現場こそが格闘の舞台となる。そのライブ感。デス・プルーフゾーイ・ベルが車のボンネットにあがった時に味わうような興奮。そういう瞬間を持っている映画は強いと思うし、この映画はその興奮に溢れている。撮影で大怪我した人が続出したんじゃないかと心配になるくらい。

シンクロとかフィギュア・スケートとか、女性がスポーツで採点されて美しさと技術を競うというのがどうにも理解出来ないし、美しいと思ったこともないんだけど、この映画のジージャーの暴力/格闘には「美」があった。しなやかに素早く動く躯。敵を倒す圧倒的な技術。わくわくして真似をしてみたくなるような(無理だけど)、まさに恍惚のアクション。とりあえず俺に言われるまでもないだろうけど、早く第二弾、第三弾とジージャーの映画を撮って欲しい。