「チェイサー」
日曜日。シネマスクエアとうきゅうで「チェイサー」。
韓国映画で猟奇殺人ものというと、どうしても傑作「殺人の追憶」を思い出してしまうのだけど、あの作品とはまったく違う手触りの作品だった。細かいところを言えば洗練とはほど遠く、荒くて残酷で救いのない映画だから、合わない人には全く合わないだろう。ただなんとなくだけど、完成度ではなく映画としての熱さという点で、かなりの熱が伝わってくる映画だった。「スラムドッグ」「グラン・トリノ」を見たあとだからか、なんとなくこういう殺伐とした映画を見たくなる。
一言で言えば、誰も活躍しない映画。主人公は誰よりも一生懸命に自分の風俗店の女の子を探しまわるし、警察だってそれなりにがんばってる。だけど、現実の事件というのはきっとこんな感じで、誰もヒーローにもヒロインにもならず、ただただ被害者が増えていってしまうのではないか?という気がする。「悪者」がいる物語は気楽だが、狂った殺人者以外に悪者がいない物語には救いがない。
迷路のような坂道がちょっと道玄坂を思わせる。デリヘルの話だからどうしても東電OL事件のことも思い出してしまう。夜の街にも、昼の街にも、誰も助けてくれない悲劇が転がっている。そういう漠然とした恐怖と、色んなことを諦めながらも、諦めの悪い男の姿がなんとなくいいのです。
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