「スラムドッグ$ミリオネア」

日曜日。シネセゾン渋谷で「スラムドッグ$ミリオネア」。

ダニー・ボイルはすごい。こんな映画を作ってしまうなんて。

見てよかったと心の底から思える映画。たとえこのブログで僕が普段言及しているような映画になんの興味のない人でも、そもそも映画なんてほとんど見ないよ、という人でも、今までの人生で何かの物語、おとぎ話、ファンタジー、夢に救われたことがあるという人であれば、必ず心を打たれるはずだと思う。我々が物語に求めるものが、この映画に詰まっているから。

映画の序盤。M.I.A.の"Paper Planes"が流れるシーンで早くも泣いてしまう。美しいモザイクのようなスラムの空撮、逃走、躍動感溢れる美しい映像と音楽。そして物語は、クイズを次々と解くジャマールと、彼の今までの人生を交互に映す形で語られる。ラストも完全にやられる。いや、ラストの問題が読まれた時点でもう号泣。なんというファンタジー

物語を貫く「運命」と言うモチーフと、あのエンディングシーンはまさにインド映画(ボリウッド)をサンプリングした感じ。ただし、猛烈にポップ。

クソのような、とは安易な人生の形容だが、まさにクソのような現実を輝かせるものは、「夢」しかない。だけど現実はファンタジーじゃないのも事実。ジャマールとサリームは光と影である。そして「問い」と「答え」はひとつ。その裏表が、まさにコインを投げてどっちが出るかのゲームが、人生にも、クイズ・ミリオネアにも繋がる。

映画を見た後は、もう1回、映画の冒頭の問いかけに戻ろう。そして何度でも何度でも、この問いかけと答えを繰返すのだ。そしてまた、走り出そう。

Jamal Malik is one question away from winning 20 million rupees. How did he do it?
(ジャマール・マリクは2000万ルピーの賞金まであと一歩。どうやってそんなことができたのか?)

A. He cheated (イカサマをした。)
B. He's lucky (幸運だった。)
C. He's a genius (天才だった。)
D. It is written (運命だった。)