チェ 39歳別れの手紙

土曜日。渋東シネタワーでチェ 39歳別れの手紙

淡々と、ゲバラの遺した日記に基づいて、負け戦が描かれる。喘息のシーンは本当に身に染みてツライ。当時はステロイド剤なんてなかったのかな。薬を忘れてしまう恐怖はよくわかる。

「28歳の革命」は成功/「39歳別れの手紙」は失敗。ドラマチックにしようと思えばいくらでも盛り上げられる明と暗だけど、この2作でのベニチオ・デル・トロの演技にはそういったアクセントの付け方は一切無い。同じ信念、同じやり方、同じ表情のまま、ボリビアの山の中で追い詰められて行く様子には救いは一切無い。しかしだからこそ現実だと思える迫力がある。

兵士の一人が死ぬ瞬間、カメラが彼の主観映像になって、空が映るシーン。風に木が揺れていた。最期の風景はいつも想像でしかない。想像の中の死はいつも静かで穏やかで、それは多くの人がそのような別れの時を望むからだろう。