「その土曜日、7時58分」人生が終了する瞬間について

土曜日、恵比寿ガーデンシネマその土曜日、7時58分

原題は"Before the Devil Knows You're Dead"でカッコいいんだけど、確かにこれの邦題は難しいと思うので「その土曜日、7時58分」ってのは結構イイのでは、と映画を見た後に思った。

冒頭、フィリップ・シーモア・ホフマンのぶくぶくに太ったケツを拝めるセックスシーンが始まりビックリする。そして全ての運命が始まる/決まる、強盗のシーンへ。物語はこの冒頭のシーンを起点にして、時系列を戻ったり進んだり、視点を変えたりしつつ進む。但し多くの時系列ずらし/多視点映画は、同じ事件が視点を変えることによって違う解釈を与えられるのだけど、この映画は徹底してひとつのことしか語らない。つまり「人生が終わってしまった/ドツボにハマった兄弟」ということ。

イーサン・ホークのあらゆることからの逃げっぷりがスゴい。フィリップ・シーモア・ホフマンの化け物っぷりもスゴい。そして救いはどこにもない。でもそれでいい気がする。映画に救いを求めるな(あるならあるでいいけど)。と言われたような気がする。「運命なんてとっくにもう決まっているんだぜ/でも悪魔に気付かれる前にこっそり逃げ出そう」そんな歌がどっかにありそうな気がする。