ソウルフラワーユニオン『カンテ・ディアスポラ』発売記念ツアー@渋谷AX

日曜日。ニューアルバムは本当によかったし、ちょうど予定もないしということで行ったライブ。途中のMCで知ったのだけど、ソウルフラワーユニオンはなんと1997年からずっと3ヶ月に1度のライブ(東・名・阪)をやってるとのこと。そういえば6月の末にも渋谷でやってたな!ということで、実はそんなにキッチリとした周期でやってるとは知らなかったのでとても驚いた。10年って簡単に言うけどスゴいと思う。まさにこれはソウルフラワーによるネバーエンディングツアーなんだな、という気がする。

まずは渋さ知らズ。見たの久しぶりだったけど、やっぱりすごい。なんというか、これはもうバンドというよりちょっとした村とか部族とかいう感じで、楽器やる人も踊る人も、誰が何をやってもいいようで、ちゃんと役割は決められていて、なんというかあらゆる組織の人はこの集団を見れば何かを学ぶんじゃないだろうか、と思う。ただのカオスではなく、もちろんマスゲームではなく、それでもやはり人間というのは集団でものすごいパワーを発揮するのだ。個人的にはフルートの人が大ハッスルしてるのが好き。

で、ソウルフラワーユニオン。「神頼み〜」からはじまって、『カンテ・ディアスポラ』の曲を中心に。やっぱり「松葉杖の男」いい。「閃光花火」もいい。(というかどの曲も良かった。)古い曲だけど美保ちゃんが歌う「ひぐらし」はうつみようこさんバージョンともまた違って良かった。後半、「うたは自由をめざす!」「極東戦線異状なし」を聴いて、もう涙腺がおかしな具合になっていく。なんというか、曲が発表されて、ライブで何度も何度も聴いて、それでどんどん歌の良さがわかってくるというのがソウルフラワーの名曲のパターンなのだ。ライブでも過去の代表曲をやってる、というよりも熟成されたそのタイミングでの演奏が提供される感じ。

海行かば 山行かば 踊るかばね」「風の市」の最強の2曲で一旦終わり。この2曲はもう結婚式でも葬式でも、あらゆる人生の場面のBGMになる。人生は祭りだ、と。

ああここは笑いと涙の舞台、
悲しすぎて笑いながら毒を吐いてる

そして、アンコールでものすごい光景を目にする。いや、競演は予想してたんだけど、渋さ知らズとの合体があんなに凄まじいことになるとは。ステージ上にあったのは、まさに狂ったような祭りの光景。白塗りが行脚し、ホーンが響きわたり、酔っ払いが瓶を叩きながら踊り、ひたすらに祝福だけが鳴らされる。「満月の夕」の「解き放て いのちで笑え」というのはまさにあのような光景のことをいうのかしらんと思う。そして「インターナショナル」も狂乱のチンドン。マルクスも草葉の陰で爆笑してくれてるかも。

もう1回アンコールで「荒れ地にて」。そしてアコースティックバージョンの「うたは自由をめざす!」。客席が歌う中、演奏は徐々に消え、メンバーが退場するなか客席の声だけが響くというエンディング。素晴らしかった。ありがとう。というしかない。このバンドと同じ時代にいて良かったと、大げさじゃなく思ったりしてますよ。ええ。