鈴木先生 第5巻

鈴木先生 5 (アクションコミックス)

鈴木先生 5 (アクションコミックス)

ありふれた日常から毎度とんでもない場所へ連れて行ってくれる「鈴木先生」の第5巻。これも凄かった。掃除当番のエピソードにある「顕在化している問題だけを解決しようと、リソースをそれに集中することで、今度は問題のない箇所に負荷が集中する。問題のない生徒たちもケアして、彼らが背負うことになってしまっているコストについても自覚的であるべきだ」(超意訳)という部分は、ものすんごい示唆に富んでてびっくりした。これって社会は必ずオーバーアチーブする人間とアンダーアチーブする人間とで成り立っているということについて、いかにも学校教育的な盲目的平等至上主義の立場ではなく、あくまでリアリストとして、より良い社会(この場合は学校)を目指そうという話なんだよね。これは教師の世界だけじゃなく企業でも同じことが言えるなあ・・とすっかり納得してしまったのである。すげえな鈴木先生

僕の父親は教師なんだけど、昔、テレビの「金八先生」とかを見ながら、鈴木先生と似たようなことを言っていた気がする。目立つ患部だけを治療するのが医者じゃないみたいなこと・・・当時は何言ってるのか分からなくて反発してたけど、今はよーくわかりますよ。ええ。

参考文献:内田樹の研究室:モラルハザードの構造

次巻はなんと、カラマーゾフの兄弟のミーチャ裁判のような展開になるとのこと。それってすごいけど、誰がミーチャだよ。そうか鈴木先生がミーチャで、小川と中村がカテリーナとグルーシェニカなのかな?まったく予想が出来ないが、そもそも鈴木先生の宇宙観はカラマーゾフ的だからぴったりな展開とも言える。そう思うと、あの渾身の性教育のあたりが大審問官だったのかな。