レッドクリフ part1

土曜日。六本木ヒルズレッドクリフ part1

公式サイトに行くと「この秋、最強のデートムービー!」とデカデカと書かれていて驚愕する。しかし、まさにその通りで、劇場はカップルだらけ。みんなデートなのだ。

まさにデートムービーとして最適なクオリティなのは以下の特徴からもよくわかる。

  • オープニング、いきなり日本語で「3分でわかる三国志」みたいな解説がある。図解入りであらすじを紹介。
  • 劇中、登場人物には必ず字幕で「劉備」とか「孔明」とか説明が出る。
  • 5分以上画面に登場しなかった人物が再登場する際には必ず「劉備」とか「孔明」とか出る。
  • 場所も丁寧に「赤壁」と字幕が出る。5分以上たった場面転換すると、必ずそこがどこか字幕で説明してくれる。
  • 字幕には全てふりがながふってある。「りゅうび」とか「こうめい」とか。

以上のような親切な作りのせいで、みんなこれが何の映画か混乱せずに見ることが出来たと思う。トニー・レオンが実はマフィアに潜入している捜査官だとか、金城武がいきなりトヨタの車に乗ったりしたらどうしよう・・という心配は無用だ。素晴らしい気遣い映画。(あ、でも映画が「Part2に続く・・」で終わった瞬間に「まじかよー」って言ってた客がいたな。「part1」ってあるのに、わからなかったんだな、可哀想に。彼のような人を出さない為にも「レッドクリフ part1」は映画の全編です、と説明してからチケット売るようにした方がいい。)

という感じで、まさに今の日本のデートムービーには、「複雑なストーリー」「登場人物たくさん」「場所移動が頻繁」はタブーだ!と(少なくとも映画会社の人は)考えていることがよくわかった。だから、ただでさえ分かりやすい単純なアクション映画を、異様なまでに説明する作りになっています。

というかね、もうね、アホだと思われてるんですよ。客なんてものは、集中力がなく、ストーリーが理解出来ず、人が死んだら泣く程度の脊髄反射的にしか映画に感動出来ないアホが映画館に来るし、そういう映画しかあたらないって思われてるんですよ。だからこの映画みたいに死ぬほどTVでCMやって、劇場ではアホでもついて来れるように説明しまくる、と。そのうち、映画の中で大事なセリフにはバラエティ番組みたいに字幕で強調したりするようになるんじゃないかな。そうやってどんどん脳が腐っていくんですよ。

映画は単純。アクションは素晴らしい出来。ただし金城武孔明はあんまり頭が良さそうではない。トニー・レオンも武人っぽくない。奥さん役の人はとっても奇麗。そんな感じの映画です。

この映画を見ると、The Load of The Ringは本当に素晴らしい映画だったと思う。「二つの塔」のヘルム峡谷の戦いは、三国志赤壁の戦いを思わせるんだけど、あれは「旅の仲間」があるからこそ感動出来る。この映画のようにいきなり「赤壁」だと全然気持ちが盛り上がらないんだよね。いきなりサッカーのPK戦だけやってる感じで。