「ぐるりのこと。」僕らは世界に囲まれてるのか?/くるまれてるのか?

日曜日に見た映画。新宿武蔵野館ぐるりのこと。

いい映画。ちょっと冷静に考えてみても、今年の日本映画の私的ベスト1とか2に入るんじゃないだろうか。(「連合赤軍」と「ポニョ」は特別枠なのでランキングはしない)それぐらい良かった。恵比寿は今週金曜で終わってしまうみたいだけど、思えば6月に公開した映画をまだやってるんだからホント評判いいんだろう。自分がそろそろ中年にさしかかるという時期に、この30歳からの10年間の夫婦の物語はすーっと入って来た。ちょうどそれが90年代を舞台にしてるところも、なんというか実に腑に落ちるというか、言葉にならない感覚を理解出来る気がする。まあ、弱っている人を狙い撃ちにするようなところのある癒しの映画だ、とも言えるけど、なんか「癒し」と言われると反発したくもなる。必要なのは癒しじゃなくて、現実をみること、ひとりにならないこと、そして絵を描くこと。

あと、もしもこの映画が裁判のシーンがなかったら・・・もう完全にダメな癒し系映画になってたと思う。猫が出てくるようなヤツ。(見たことないけど)

裁判のシーンとそれを見つめる法廷画家という設定、それがなんだか自分の不幸に酔ってない、別の視点を確保することに役立っていて、甘ったれた映画になることを防いでいる。あと「絵を描く」シーンがとても好き。ちょっと北野武の「HANA-BI」を思い出した。